今回のブログでは、テクノビームは、なぜ強いのか、どんな役割なのか、なにができるのかについてお話させていただきます。
テクノビームの役割
木造住宅は、木材を使用した住宅のことで、日本では古くから歴史的建造物等多くの建物に用いられてきました。調湿機能があり、日本の気候に適していることから、住宅としても最もなじみのある材料です。
また、現代社会の中で、落ち着ける空間を求める方も多いと思います。木は、自然のものであることから、温かみを感じられ、落ち着くことができる空間を作り出すことができるので、現代人にはピッタリかもしれません。
しかし、木にも短所があります。それは、木は縦向きに成長するため、縦向きの力には強いですが、横向きの力には弱いということです。そして、その横向きの力を受ける部材が梁です。梁には多くの荷重がかかります。地震や台風等の大きな力にも、耐えなければなりません。とても大事な梁ですが、横の力に弱い木材では耐えることが難しいです。
テクノビームは、木の弱点を軽減するために、鉄を複合させ、強固でたわみの少ない梁を開発しました。
住宅は、梁がたわむことで、骨組み全体に歪みが生じてしまいます。特に木製梁は、長期間荷重がかかり続けると、たわみ量が年々増えていくクリープ変形という現象が起こります。
しかし、鉄骨を芯材としたテクノビームは、このクリープ変形がほとんど進行しません。通常は木製梁のたわみ量を柱間の距離の1/300と規定されていますが、テクノストラクチャーでは、1/600以下と設定し、構造計算上でのたわみ量を半分以下に抑えています。
テクノビームは、たわみ量を減少させ、柱では耐えることができない横向きの力に対応し、骨組み全体の歪みを抑える役割を担っています。
テクノビームの強さのヒミツ
テクノビームの強さの理由は、先程もお話しましたが、木と鉄の複合であることです。さらに、細かく強さのヒミツをお話させていただきます。
木の弱点である、横向きの力に関しては、軽量H形鋼を芯材に上下を木で挟んだサンドイッチ構造により対応しました。
さらに、この軽量H形鋼は、防錆作用に優れた溶融亜鉛メッキ処理を施すことで、住宅性能表示制度における、劣化等級3(最高等級)の基準をクリアしており、鉄の弱点である錆による劣化を防ぎます。亜鉛は鉄よりも先に反応する性質があるため、鉄素地が露出しても亜鉛が先に反応して緻密な保護被膜をつくります。これを犠牲防蝕作用と言い、亜鉛が鉄そのものを錆から守ってくれるのです。
テクノビーム同士の接合をする際、素材の力を引き出す金具接合仕様を採用しています。一般的な木の家は、木材を切り欠いて、部材と部材を接合しますが、接合部の木材は部分的に細くなってしまい、その箇所に地震等で大きな力がかかり、建物の崩壊を招いてしまいます。テクノストラクチャーでは、木材の切り欠きをできるだけ減らしているため、接合部の負担が少なくなっています。
テクノビームは、木と鉄の2種類の材料を複合させているため、熱膨張率に差が生じてしまいます。しかし、熱膨張を十分に吸収できるように200mm間隔でビス止めしているので、不具合が生じることはありません。
388項目もある構造計算によって1つ1つチェックし、たわみ量、曲げ強度等の設計基準を設定しています。自由設計であるため、間取りや荷重などで1棟1棟必要な強度が変わってきますが、テクノビームには多くの種類があり、構造計算の基準値を満たす部材を配置することが可能です。
一般的に鉄は、木材などに比べて熱の伝導が早いため、外気温が鉄に伝わり、温度差で結露が発生することがあります。しかし、テクノビームは芯材となる軽量H形鋼に専用開発した断熱材を直接貼ることで、温度の影響を受けないように工夫しています。
テクノビームで叶うこと
テクノビームは、一般の木製梁よりも強度があることはお話させていただいた通りですが、ぞれにより、どんなことができるのかご紹介いたします。
一般的な木製梁を使用した場合、柱と柱の間は4mほどが限界です。梁が弱いとたわみが出て、構造全体がグラグラしてしまい、補強のために柱や壁がたくさん必要です。
しかし、テクノビームはたわみが少ないため、間取りにもよりますが上階に居室がある場合、最大8mまで広げることができ、大空間を実現できます。さらに、柱と柱の間を広くできることで、間取りの自由度も上がります。
梁の片側を下から支えることなく、最大で木製梁の2倍にもあたる約1.8m持ち出すことができます。テクノビームの強さでバルコニーを支え、広めのバルコニーを実現できます。また、バルコニーだけでなく、1階に柱や壁を設けずに、2階、3階を部分的に、持ち出すこともできます。狭い敷地での駐車場の確保、外観に変化をつける等の提案が可能です。
テクノビームの基本的な情報に関しては、「木の温もりと、鉄の強さを合わせ持つテクノビーム」でお話させていただきました。ぜひ、そちらも目を通してみてください。