テクノビームとは
テクノビームとは、パナソニックが独自に開発したもので、木と堅牢な鉄が組み合わされた複合梁のことです。軽量H形鋼の上下を木(集成材)で挟んだサンドイッチ構造になっているため、たわみが少なく、強固で安全性の高いものとなっております。
テクノビームという名前はテクノ=テクニカルの略で、技術的な、科学という意味で、ビーム=梁という意味です。
テクノビームの始まり
テクノストラクチャー工法が開発される時に、プロジェクトチームが日本の気候・風土に適した木造住宅の魅力を損なうことなく、新たな素材を導入して、より高品質・高強度な住まいを実現するには、と考えたことがテクノビーム誕生の発端でした。そして木材の弱点である、横向きの力が大きくかかる梁には、曲げ強度の高い鉄骨を組み合わせるという方法が編み出されました。
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木と梁の複合梁
テクノビームは、木と鉄の融合により、バランスのとれた強靭な構造体を実現させることができます。
木製梁の場合、樹種や含水率(乾燥度合い)、節、割れなどの状況により長時間荷重がかかり続けるとクリープ変形が起き、引き戸の開閉がしにくくなる等様々な不具合を生じます。
テクノビームの場合、木材のみではなく、芯材に鉄材が使用されているため、長い年月がたってもクリープ変形はほとんど進行しません。
※クリープ変形とは、長時間一定の荷重が作用した時に、たわみが徐々に増加する現象のことで、時間の経過とともに変形が大きくなっていきます。
実際に木製梁とテクノビームの比較実験を行ったところ、木製梁(ベイマツの乾燥材)は、約6.3トン(アフリカゾウ1頭分くらい)の荷重で破壊されました。テクノビームは、木製梁が破壊された荷重に耐え、たわみは約25㎜という小さいものでした。
木製梁
テクノビーム
この実験から、テクノビームの強さがわかると思います。
テクノビームを使用することにより、骨組み全体の歪みが抑えられ、地震などの大きな力にも対応することができます。さらに、柱の本数を減らすことができるため、プランにもよりますが、大空間の実現を可能にします。
断熱と防錆
長所がたくさんあるテクノビームにも短所があります。それは、鉄材の部分です。木材に比べると鉄材は熱の伝導がとても早いと言われています。そして、鉄なのでさびや腐食もあります。しかしこれらは工夫を施すことで、充分にカバーすることができます。
熱の伝導については、外気温がテクノビームに伝わり、温度差で結露などが起きるのではないかと不安になりますが、テクノビームのために専用開発された断熱材を直接鉄材部分に貼り付けることで、外気と直接触れないようになり、外気温の影響を受けないように工夫されています。
もし熱の伝導により結露が生じてしまった場合を考えると、さびや腐食も気になります。しかし、テクノビームには鉄部分に溶融亜鉛メッキ処理が施されています。結露が生じると、鉄より先に亜鉛が反応し、保護被膜をつくります。その保護被膜により、さびから鉄は守られるという仕組みになっています。
テクノビームの芯材である軽量H形鋼は、溶融亜鉛メッキ処理により、住宅性能表示制度における劣化対策等級3(最高等級)の基準をクリアしています。
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