構造計算ってなに? いまどきどこでもやってるんじゃないの?
「構造計算」と聞いてこう思われる方もいらっしゃると思います。 しかし実は、どこでもやっているワケではありません。
構造計算とは
「構造計算」とは建築物の構造安全性の確認方法のひとつで構造安全性レベルの高い確認方法です。
ほかの確認方法としては上記イメージ図の通り「性能表示計算」や「仕様規定」があり、最も簡易的な安全性の確認方法である「仕様規定」で大半の木造住宅の建築が可能なため、構造計算は行われないケースが多いのです。
現在の日本の木造住宅の多くが「四号建築物」というものに分類されます。 建築基準法第6条第1項第4号に分類される建築物で簡単にまとめると
- 木造の場合、2階建てかつ、床面積が500㎡以下のもの。ただし、特殊建築物の用途(共同住宅、店舗、集会場、車庫、物置等)で200㎡を超えるものを除く。
- 木造以外の場合、平屋かつ、床面積が200㎡以下のもの
となります。
この日本の木造住宅の多くが分類される四号建築物は建築確認・検査の審査省略制度(いわゆる4号特例)の対象範囲※にあり、建築士が設計を行う場合には、構造関係規定などの審査が省略され、仕様規定での安全性の確認をすれば必要な図面・計算も少なく済み、構造計算が法律で義務付けられていないこともあって構造計算までは行われていないケースが多いのです。 ※2025年4月(予定)から4号特例の対象範囲が縮小され審査省略制度の対象となるのは改正法第6条第1項第3号に該当する建築物:新3号建築物(木造平屋建て、延べ面積200㎡以下)となります。
ここで建築基準法第一条を見てみると
第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国 民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする
とあり、法律には最低限の基準しか定められていないということが分かります。仕様規定での検討・計算とは、法律で定められた最低限の基準をクリアした建物、ということになります。
次に性能表示計算とは上記の仕様規定では考慮されていない準耐力壁の考慮や積雪の考慮等、より詳細な検討を行います。近年、長期優良住宅が普及しましたがその要件の一つとして耐震等級2以上が必要となるため、長期優良住宅を取得する多くの木造住宅はこの性能表示計算を用いています。
構造計算とは地震、台風、豪雪など、いわゆる災害が起こった際、住まいにどのような力が加わるかを計算し、その力に住まいが耐えられるかどうかを、詳細に検証するもので、言わば、「住まいの災害シミュレーション」と呼べるものです。
先に記した通り多くの木造住宅にはこの構造計算は義務付けられていません。しかし木造住宅は広い部屋があったり狭い部屋があったり等、1軒1軒の間取りは異なり骨組みも複雑になっており非常に個性的です。だからこそ個々に構造計算をし住宅、ひいては命や財産を守る必要があると弊社は考えます。
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